メソッドについて

バレリーナへの道程

メソッドについて

流派・宗派・メソッド

習い事や宗教で流派や宗派が存在するものが多くあります。茶道(表千家・裏千家など)、華道(草月流・池坊など)、空手道(極真会館、全空連など)、仏教寺院(浄土真宗、日蓮宗など)などと思い浮かぶものだけでも結構な種類をあげることができるでしょう。それぞれの真理を追究する過程での考え方の違いなどから分かれてくるのは当然のことと思います。
クラシックバレエの世界においても同様で、オペラ座・ワガノワ・RAD・チュゲッティなど、様々なメソッド(バレエでは流派とは言わずにメソッドといいます)が存在しています。ただし、はじめに断っておかなければならないことですが、あるメソッドは別のメソッドより劣っているなどということでは断じてないということは認識しておかなければなりません。

メソッドによる違い

私はバレエ教師ではありませんし、全てのメソッドについて熟知しているわけではありません。また、メソッドによっては内容を伝えることについて関係者のみに限っているメソッドも存在します。そこでここでは雑誌に掲載されて公開されている内容や、実際に私が体験したことになどに限って、お話させていただきます。

同じクラシックバレエである以上、大きな違いはないと思いますが、公演での表現方法やパの名前、アラベスクの手の位置の呼び方など、細かいところが違っているものです。茶道に例えると、お点前の順番が前後していたり、お茶碗の正面を避けるための廻す方向が異なっていたりするのに似ています。文園社から発売されている「バレリーナへの道 (Vol.42)大人からのバレエ4」の40ページから48ページに、「パリ・オペラ座、ワガノワ、RAD、どう違う?3つの舞踊スタイル」という記事があり、それによると、腕のポジションを比較してもこの三つのメソッドでこれだけ違っているのが分かります。

オペラ座メソッド ワガノワメソッド RADメソッド
両手アン・バー     準備 プラ・パ
両手アン・ナヴァン 1番 1番ポジション 第1ポジション
両手アラ・セゴンド 2番 2番ポジション 第2ポジション
両手アン・オー 5番 3番ポジション 第5ポジション
アン・ナヴァン
+アラ・セゴンド
        第3ポジション
アン・オー
+アラセゴンド
3番     第4ポジション

また48ページでは、アラベスクの呼び方について書かれています。よく「第2アラベスク」という言い方をバレエ教室では使いますが、この記事を見ると、オペラ座メソッドではそもそも番号では呼んでいないようですし、ワガノワメソッドの区別は非常に分かりずらいものがあります。私が在籍していたある教室では、(そこはRADメソッドの教室ではなかったのですが)RADメソッド式の呼び方を使っていました。

他にも私の経験からお話しすると、あるオープンクラスで、そこでは何人もの教師が在籍しているのですが、一人だけ「パドゥシャ」を「ソデシャ」と呼んでいた教師がいました。これもその43ページに、オペラ座メソッドでは「ソー・ド・シャ=パ・ド・シャのこと」と書かれており、おそらくその教師はオペラ座メソッドの教師から習ったのだろうなと想像ができます。さらにそのオープンクラスのある教師(ちなみに、私がバレエをはじめた当初に習っていた教師です)から教わったポール・ド・ブラを教室を変わった際に、そちらの教師から「うちではそのような使い方はしません」と肘の使い方についていきなり注意を受けました。すぐ修正しましたが、このようなメソッドの違いに起因する違いを体験することが皆様にもあると思います。

メソッドに関する私の意見

少し独善的になるかもしれませんが、私が思っている本音を二つほど述べたいと思います。

採用メソッドを明示してほしい

バレエ教室のウェブサイトを見ていると、ほとんど採用メソッドが明示されていないことに気付くと思います。例外なのか分かりませんが、RADメソッドを採用しているところは公表しているところが多いように思います。確かに、全面的に特定のメソッドを採用しているとは限らないので「当教室では〜メソッドで」などと書けない場合もあるかもしれません。しかしながら

  • どちらかというと〜メソッドの影響を受けている
  • どちらかというと〜メソッドに近い
  • ポジションの呼び方は〜メソッドのものを使っている

ということがきっとあると思います。私を含め、教室を探そうとしている側で気にしている人は結構いると思います。その意味も込め、当サイトのバレエ教室リンク集はメソッド別に分けています。

初歩的・基本的な技術は同じであってほしい

「パ」の呼び方や手の位置の呼び方が違っていてもその場合は使い分ければいいだけのことでそう影響はないでしょう。しかしながら万一、初歩的・基本的な技術が違っていると非常に困ります。クラシックバレエとモダンバレエともなれば技術的に違っていてもまだ分かりますが、同じクラシックバレエの間で違っているとなると、習う側はどう対処していいのか分からず大混乱に陥ってしまいます。やはり本音としてごく基本的なところはメソッドが違っていても変わっていないでほしいと思います。

補足:初歩・基本的技術に揺れがあると思われる例−ゴルフ

ゴルフをなされない方には申し訳ございませんが、初歩・基本的技術に揺れがあると思われる例としてゴルフをあげて説明したいと思います。

ゴルフの場合、バレエにおける「ワガノワメソッド」のような極めて著名なメソッドは存在しないと思っています。多くの場合は指導者の名前がメソッドのようになっています。具体例を挙げてみれば、「デビッド・レッドベター」・「坂田信弘」・「井上透」・「内藤雄士」などの方が挙げられます。そしてゴルフの場合はレッスン書やゴルフ雑誌もバレエと比べて極めて多く、そこでもさまざまな技術的のことが書かれています。しかし困るのは、正反対のことと思えるようなことが平気で書かれていることが多くあります。たとえば、

  • アドレスにおけるボールの位置(クラブが短くなるに従い内側に入れてくるのか、ボールの位置を変えずスタンスだけを狭めてくるのか)
  • 斜面における立ち方(斜面と水平か、地球に対して垂直か)
  • アプローチでの選択(クラブを変える事により対応するのか、同じクラブ(主にSW)でスタンス等を変える事により対応するのか)
  • パットのストローク(ストレート−ストレートかインサイドインか)

などが挙げられます。まだ初心者であるうちはこのようなことがあると非常に迷うんですよ。これがレギュラーティーからスコアが90程度のスコアを出せるようになってくれば十分咀嚼して理解できるのですが、「レギュラーティーから回って90」というのはドライバーで230ヤードは飛ばせる人(一般男性を想定)が、

  • ショットを曲げてもラフで止まり、林や斜面までは行かない
  • ダフリ・チョロ・ザックリ・チャックリとアプローチにおいてはトップも絶対にしない
  • バンカーからは一発で出す
  • 残り50ヤードまで行けばまず「乗せツー(乗せて2パット)」はできる

ということができていれば比較的容易に出せるスコアではありますが、それができる人をふつうは初心者とは絶対に言わないはずです(中級者の入り口といったところでしょうか?だってレギュラーティーから回っている限り以上の条件を満たしていればパーオンできなくても残り50ヤード程度にはいきますから。それから先シングルになるには「乗せツー」から「寄せワン」や「パーオン」をとるようにアプローチやパッティングの精度を上げていかなければなりませんが)。
だからその程度まで行くまでにはそのようなメソッドの違いによる基本的な内容の違いがあると非常に困りますし、よく「運動(ダンス以外のさまざまな運動を含む)は理屈じゃない」といいますが、最低限習っている人が迷わない程度の知識はやはり絶対に必要なのではないかと思います。そしてその程度まで行ってやっとゴルフ雑誌の記事が面白く読めるようになりました(ほんとに応用レベルの内容が多いといまさらながら感じています)。

蛇足ですが、ゴルフで評価できる面を一応挙げておくと、「プロになるための道筋が比較的はっきりしている」ということは挙げられると思います。とりあえず超えるべき関門が、「アシスタントプロ資格取得・プロテスト合格・ツアー予選会上位通過・シード権取得」といった形で明確な目標は定められています。さらにゴルフの場合は個人競技ですし、何よりも結果が「スコア」という形で明確にされるので、なおさらのことでしょう(ただし、土日にテレビで放映されているゴルフトーナメントに出場している選手は全プロゴルファーの中のほんの一部であることは知っておかなければならないでしょう)。

今回はたまたま雑誌に記事が出ていたため、三つのメソッドについて比較することができましたが、私にとってメソッドの違いというのは、これからも悩みの種であることだと思います。